日本の公的年金制度は、昭和36年の国民皆年金の達成を経て制度の充実が図られ、 平成13年度末には加入者数約7,000万人、受給者数約2,900万人、年金支給総額は約39兆円に達しています。
こうした中、高齢期の生活を支えるものとして国民生活に不可欠の公的年金制度を、公平で持続可能な制度として維持していく必要から、年金制度改正が行われま す。改正案の中では、給付と負担をどのように見直しをするのかを大きく取り上げ、給付については、現行の給付水準が現役時代の年収の59.4%のところ、これを50%程度へと引下げ、一方負担については、現行の厚生年金の保険料率13.58%から18.35%へ保険料を引上げることが盛り込まれています。
今後少子高齢化が一層進行することが予想される中で、保険料の引上げをし、給付水準を低下させるだけでは、年金給付財源が不足することが懸念されます。これに充てるための消費税率の引上げについても、今後は議論されてくることが予想されます。
メディアでも毎日のように報道されておりますように、保険料の一部が不適切な投資等にあてられるなど、国民の国に対する信頼が大きく揺らいでいるのではないかと思います。
まずは、管理者の責任を明確にするとともに、今後一層の情報開示と制度の簡素化を求めていくことが必要ではないかと思います。「我々国民も、自分がいくらもらえるのかという興味だけでなく、相互扶助としての年金制度のあり方や、社会体制全般にも一層の注意を払い、行政監視を強め、政治参加しなければならない」という国民への警鐘であるとの捉え方も必要ではないでしょうか。
自己責任に裏打ちされた自助の精神は民主主義の基本であると考えます。