「華蔵寺公園にクマゼミがいたぞ。」四国出身の会長さんがこの夏話してくれました。他のせみと違い、大きくそして特徴的な声でなくので、すぐに分かったそうです。北関東の人々には馴染みのないクマゼミは、1990年代ごろから北上を始めたようで、これは地球温暖化の影響であるともいわれています。またこの温暖化は昆虫の生態系のみならず、地球全体の気象状況にも影響を及ぼし、近年大きな災害を発生させている原因の一つであるとする有力な説もあります。今年西日本に上陸し猛威を振るった「台風14号」や、アメリカ南部に壊滅的な打撃を与えたハリケーン「カトリーナ」や「リタ」は衝撃的な事件として記憶に新しいところです。
 
 できれば避けたいものですが、もし個人が台風などの災害によって生活に通常必要な資産について損害を受けた場合には、一定の金額を所得から控除することができます。これを雑損控除といいます。本人及び本人の親族で、一定の要件に該当する人が所有する住宅、家具、衣類などがその対象となります。生活に通常必要な資産が対象となるわけですから、別荘や事業用固定資産、書画、骨董、貴金属等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものの損失については、この雑損控除の対象とはなりません。また災害によって損害を受けた住宅や家具などの取壊しや除去のために支出する、災害関連支出も雑損控除の対象となります。 
 
 雑損控除の適用を受けるためには、控除に関する明細書及び控除に関する事項を記載した確定申告書を提出しなければなりません。なおこの雑損控除とは別に、災害減免法による所得税の軽減免除の規定の適用を選択することもできます。

 西日本の各地で大きな被害をもたらした台風14号は、幸いにも関東地方には上陸せずに去って行きました。ここ群馬では近年大きな災害は発生していません。そのためか、多くの群馬県民は、災害に対して無頓着のように感じられます。しかし思い出してください。昨年の新潟県中越地震の際、かつて経験したことのない大きなそして連続した揺れに、「尋常でない何か」を感じませんでしたか。「ここ群馬でも起きるぞ。近づいているぞ。」クマゼミは大きな声でそう警告しているのかも知れません。

 何にも起きないかもしれない。しかし、あらゆる事態を想定して準備しておく、万全の体制を整えておく。そうすれば被害を最小限に止めることができるはずです。
会社経営についても全く同じことが言えるのではないでしょうか。

2005.10.01
moritax.com-editor 税務コラム