歴史好きの女性が増えているそうです。テレビドラマでイケメンの俳優が演じ、またゲームやアニメでジャニーズ系に描かれた戦国武将に憧れているとか。見た目だけでなくその生き様や内面の強さに理想の男性像を求めている女性もいるようです。このように歴史上の人物に魅せられた女性は歴女(レキジョ)と呼ばれ、彼女たちの間で常にトップクラスの人気を誇っている武将の一人に、真田幸村がいます。ゲームでは、額に巻いた深紅の紐と茶髪を風になびかせ、赤色の鎧をスリムな身に纏い、細めの朱槍をカッコよく振り回す姿で登場します。真田の赤備えは健在ですが、とっても今風で、しかも超ファッション性重視です。  
 武勇に秀でた武将やその精鋭部隊にのみ許された赤色は、戦国時代のヒーローの象徴でした。現代社会でも、テレビの戦隊シリーズの主役はだいたい赤色です。しかし赤字経営、赤字決算と企業経営にとって赤色は必ずしも好ましい色とはいえません。未曾有の経済危機の下、多くの企業が今年に入ってから赤字に転じてしまいました。そのような事態に対応するために、永らく停止状態にあった法人税法の一部が、以下の通りとなりました。
 一定の要件を満たす中小企業者等の平成21年2月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税額の還付を請求できることになりました。欠損金の繰越控除との選択適用です。この制度の適用を受けるには確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出しなければなりません。なお請求の基礎となった欠損金額その他必要な事項について、税務署の調査を経た後でなければ還付されませんので、注意が必要です。
 財務省が11月2日に発表した2009年度上半期(4~9月)の税収実績によると、法人税収は1兆3757億円でしたが、予定納税額の戻し及び欠損金の繰戻などによる還付金の額が2兆6832億円に達したため、1兆3075億円の赤字となってしまいました。法人税収が上半期にマイナスになるのは、記録の残る1960年以降初めてだそうです。
 国家の経営でさえ不安定な今日、多くの企業とその経営者は、生き残りをかけた戦いの真っ只中にいて、日々奮闘しているのではないでしょうか。

 幸村は赤備えの真田隊を率い、戦場にて徳川方を相手に鬼神のごとく活躍しましたが、ちから及ばず壮絶な最期を遂げました。武をもって名を残した伝説的な戦人でした。
 さて、徳川家を散々な目にあわせた幸村には、信之という兄がいました。真田家の滅亡の危機を救いその礎を築いた人物ですが、後世の評価(たぶん歴女人気も)は決して高くはありません。不安定な境遇にもかかわらず、信之は動乱の世を凌ぎ、家康の時代には信州上田の藩主となりました。善政を敷き、多くの領民に親しまれたそうです。しかし秀忠の時代には信州松代に移封されてしまいます。その後も幕府に睨まれることが多かったようですが、類まれな政治力と才気をもって真田家を守り抜きました。また上田を去る時に蓄財は20万両もあったといいます。当代随一の政治家、そして経営者でした。
 現代の乱世をしぶとく生き残る方法を、この人ならば知っていたかもしれません。

2009.11.01
moritax.com-editor 税務コラム